第20話

「どん平さん。正直に言っていいかな?」

つばめのしゅん太さんが、改まった表情でたぬきのどん平さんに告げました。

「どん平さん。たぶん、きつねのつね次郎さんに騙されているよ。別にどん平さんの舌がおかしくなったわけではないな。」

「えっ…」

何のことかたぬきのどん平さんには、ピンときませんでした。すると、それを察してか、つばめのしゅん太さんは、同業者であるきつねのつね次郎さんの一件について説明し始めました。

「実は、しょうゆ屋の同業者として、きつねのつね次郎さんには妙な噂が流れているんだ。つね次郎さんがお客さんに販売したその手のしょうゆが、巷ではものすごく評判がいい。なのに、他のしょうゆ屋がそのしょうゆをたしなめると明らかに発酵前のしょうゆの素でしかない。すなわち、出来上がる前のまったく熟成の進んでいないしょうゆの元みたいな状態のしょうゆなのに、どのお客さんもそのしょうゆに関して、口々にものすごく熟成の進んだしょうゆと絶賛する。それが、おもしろいことに、決まり切っていつも高級そうな葉っぱで包まれている瓶のしょうゆらしい。もちろん、値段も従来のしょうゆよりも断然、高く設定されている。でも、どのお客さんも、値段よりも、そのしょうゆを選んで買い求めてしまう。そんな、一品らしい。明らかに、同業者にはすこぶる評判が悪いしょうゆなのに、お客さんにはすこぶる評判が良すぎる。そこに、妙な噂が流れているんだ。これは、明らかに何らかの仕掛けをしていると…。」

第20話

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